アメリカで正規に手に入れられるGT-Rといえば、R35 GT-Rだろう。
ドラッグレース大好きなアメリカ人によってカリカリにフルチューンされたGT-Rが沢山見受けられる中、なんと右ハンドル仕様のハコスカとケンメリの2台をほぼノーマル状態で所有する人物を紹介する。
まず何より米国は左ハンドルの国だ。
日本から直接持って来た右ハンドル仕様の車に乗るというのは実は非常に難しい。
カリフォルニアで右ハンドル仕様に乗るためには、環境保護局とカリフォルニア州大気資源局の基準をクリアする必要があり、かつ生産から21年、高速道路交通安全局では25年が経過した車については、申請が通れば右ハンドル仕様の車を年間走行距離4000kmの条件付きで乗れるのだという。
そんな苦労をしてまでアメリカで2台の右ハンドル仕様スカイラインを所有するのは、カリフォルニア州サンフランシスコ在住のアイヴァンさん。
ノーマル状態を保っている程度の良いスカイラインを並べている。
ナンバープレートに”KENMARY”と入れている当りが、彼の車に対する愛情が感じられる。
何よりこの2台を運転していて嬉しいのは絶対的な速さこそないものの、キャブレター仕様の直列6気筒エンジンから発生する独特のサウンド、カチャッと入るシフトフィール、そして何よりただただ運転していて楽しく成ってしまうのだという。まさにファン・トゥ・ドライブというやつだ。
当然これでカリフォルニアの公道を走っていれば人々の注目の的になる。
誰もが日本の旧車を実際に見た事等無く、例えクルマ好きの人でさえもその姿は信じられない用に写っているだろう。
彼にとってケンメリ(4代目スカイライン)はどこを見ても手を付ける所など何処にも無いようなコンプリートカーのような存在だという。
バックミラーに日本からそのまま仕入れて来たのであろう、神社のお守りが着いているのが判るだろう。何も手を入れないのが彼なりのクルマに対する接し方なのだ。
対するハコスカは(3代目スカイライン)はキャブレター特有の逞しいエンジン音に攻め込んだフロントデザイン、インテリア、全てにおいて攻めたくなる様な漢のクルマだという。
彼は長年DVDでハコスカが走る姿を眺める事しか出来ず、夢にまで見る程であったが、念願かなってオーナーに成る事が出来た。
そんな彼が大事にするもはや骨董品レベルの2台のスカイラインがカリフォルニアのレッドウッドグローブスや、ルーカスバレーロードを走り抜ける姿は日本で走っている映像と違ってとても優雅で美しく感じる事だろう。
こうして海を越えて様々な制約さえもクリアして日本の旧車を維持してくれているクルマ好きが居ることを知れば、嫌な気持ちに成る人など絶対いないはずだ。
彼こそ本当にピュアなクルマ好きと言えるのではないだろうか。