MT車の自動車教習で一番最初に打ち当たる壁、半クラッチ。
クラッチ…? 半分くらい踏んでエンストしないように発進する?? 何それ美味しいの?とパニックになってしまう事間違い無し(笑
どうしてMT車を発進させるためには半クラッチという動作が必要になるのか。そして何故クラッチペダルが必要なのか。その辺を出来るだけ詳しく解説して行きたいと思います。
何はともあれ、まずはアニメーションでクラッチの動きを確認してみてください。
全く理解出来なくても問題ないので、とにかく動いているイメージを掴んでくださいね。
それでは、クラッチの構造について学んで行きましょう。
AT車と比較してMT車の見た目で解る決定的な違いは、クラッチペダルが有る事でしょう。
右から3番目のペダルがクラッチペダル。
(一番左は足を休めるフットレストなので間違えないように)
こちらはAT車のペダル
右からアクセル、ブレーキ、そしてフットレストの順。
MT車と比べてアクセルとブレーキの間隔が広く、ブレーキペダルも大きいのが一般的。
MT車にはクラッチペダルという物が存在する事を理解したら、発進する原理を見てみましょう。
AT車の場合はシフトレバーをDレンジに持って行って、ブレーキから足を離すか、アクセルを踏めばクルマは前に進みます。
MT車の場合は手動でクラッチペダルを踏んで、適切なギアを選択し、エンジンの動力をタイヤに伝えてやらなければ発進出来ません。
下記の図を見てみると判りやすいと思います。
半クラッチというのはクラッチペダルを半分ほど踏み込んだ状態で、エンジンの動力がクラッチ板を通ってタイヤに伝わる寸前だとイメージしてみてください。この半クラッチ動作が上手く行かないと、エンジンの動力が上手くタイヤに伝わらずにエンジンが停止してしまいます。(いわゆるエンストというやつです)
MT車を発進させる為にはクラッチペダルを踏んで、エンジンの動力をタイヤに伝えなければならないという事を理解できたら、クラッチの構造を見て行きましょう。
クラッチは主に3つのパーツで構成されており、それぞれフライホイール、クラッチ板、クラッチカバーがあります。
クラッチ板が擦り減ってしまうと、エンジンの駆動力が上手くタイヤに伝わらなくなり、最悪発進出来ないという事態になってしまいます。
クラッチ板を覆うクラッチカバーの外側にはダイヤフラムスプリングという、イソギンチャクみたいな部品が付いています。
これはかなり重要な部品なので一応頭の片隅に入れておきましょう。
この3つの部品をひとまとめにして、エンジンのクランクシャフトに取り付けます。
取り付け部分は下の方に見える大きな円盤部分。
これを裏側から見るとこういう感じになってます。
何となくイメージ掴んでもらえると嬉しいのですが…
表に戻ってみると、こうしてフライホイール、クラッチ板、クラッチカバーの3つが1まとめになっているのが解りますね。
はい、じゃあクラッチが何処に取り付けられてて、どういう部品で構成されているのか理解できたら、もう一度、半クラッチの動作原理を確認しましょう。
クラッチペダルを踏むとクラッチカバーに付いているイソギンチャク(ダイヤフラムスプリング)が前に押し込まれて、クラッチ板がフライホイールから離れます。クラッチ板が離れているという事は、最初のイメージで説明したのを思い出して、エンジンの動力がタイヤに伝わってないので、クルマは動きません。
では反対にクラッチペダルから足を離すと、イソギンチャク(ダイヤフラムスプリング)が元の位置に戻り、クラッチ板がフライホイールにくっ付きます。
クラッチ板がくっ付いているという事は、エンジンの動力がタイヤに伝わっているので、クルマは動き出します。
はい、ちょっと難しくなってきましたね…
ゆーーっくり考えてみてください。
クラッチペダルを踏み込むと、 動かない。
クラッチペダルから足を離すと、動き出す。ですよー
一番大事なのはイソギンチャク君がちゃんと仕事してクラッチ板がくっ付いたり離れたりしてるという事です。
クラッチ板とイソギンチャク君(タイヤフラムスプリング)の横についてるプレッシャープレートの隙間は僅か1.0mm程しかありません。半クラッチというのはそんな微妙な隙間の操作をしているという事になります。
ではもう一度。
クラッチペダルを踏み込むと、エンジンの駆動力が絶たれるので、クルマは前に進みません。
下の図を見るとフライホイールしか回っていないのが解りますね。
反対にクラッチペダルから徐々に足を離して行き、半クラッチを経て、完全に足を離してしまうと、エンジンの動力が伝わるので、クルマは前に進みます。
フライホイールとクラッチ板がくっ付いて、一緒に回っているのが解りますね。
クラッチについての説明はこんな所です。
イメージを掴む事が出来たでしょうか。
まとめると、半クラッチというのはイソギンチャク君に上手く仕事をさせて、クラッチ板とフライホイールが微妙にくっ付いて、クルマが走り出す寸前の動作だと言えます。
もう一度最初のアニメーションで復習するか、下記の動画を見てみると更に理解力が増します。
長々と書いてきましたが、まぁ…ぶっちゃけ今の時代にMT車なんて必要ないじゃん?って言われたら、確かにそうなのかもしれませんね。回りを見渡してもAT車に乗っている人が大半でしょうし、あえてMT車に乗る人というのは、クルマ好きか、マニュアルじゃないとダメなんだ!っていう理由が無い人以外は乗る事もない存在になりつつあります。
でもMT車に乗ってるって、人と違う感じがして良いじゃないですか(笑 すでにこの時点で変態思考なんですが… うわ、何それキモ!!とか言われても、渋滞にもめげず、態々シフトレバーをガチャガチャ弄くってる方が、スマホを見ながらのながら運転とかしなくなるし、居眠り運転とかも防止できちゃうかもしれません。
最近はメルセデスベンツが21年ぶりにMT車を新車で買えるように復活させたり、2015年はフォルクスワーゲンがMT車を新設定するとか、ディーゼルエンジンで勢い付いてる日本のマツダもMT車の設定が豊富だったり、何かとMT車に乗れる機会というのは少しずつ増えているような気がします。
何でも手に入って、楽になれてしまうこの時代に、あえてMT車に乗って大変な思いをする変態さんが増える事を祈って…(笑
ポルシェ911カレラの7速MTのシフトレバー。
漢ならコレをガチャガチャ操作してみたい。