フォルクスワーゲン車やホンダの新型フィットハイブリッド等に採用されている、デュアルクラッチトランスミッションの仕組みを見ていきましょう。
クルマに興味の無い人がデュアルクラッチって何?と質問されると、とりあえず名前から察するにクラッチが二つあって…..あとは何か凄くて、燃費効率が良い…?ぐらいしか思いつかないだろう。
デュアルクラッチについて理解する前に、マニュアルトランスミッションの構造を理解しておく事をオススメします。基本を理解しておかないと、いきなりデュアルクラッチの構造を見ても難しいので…
シンプルな構造を理解する為に、4速デュアルクラッチトランスミッションを見て行きましょう。
デュアルクラッチトランスミッションの動作の仕組みは、マニュアルトランスミッションと非常に良く似ています。大きな違いといえば、やはりクラッチが二つ付いている事でしょう。
青とオレンジ色のクラッチはそれぞれ独立しています。
まずコレが一つ目のクラッチとインプットシャフト。
そしてこれが二つ目のクラッチとインプットシャフト。二つ目のインプットシャフトは若干外形が小さくて、中に収まる様になっています。
これが全体図です。オレンジ色のインプットシャフトの延長上に1速ギアと3速ギアが繋がるようになっているのが解るでしょうか。
もう一方のインプットシャフト上には2速ギアと4速ギアが連結されるようになっています。
各ギアの中心にはシンクロナイザーリングが取り付けられています。これはマニュアルトランスミッションと同様の構造なので判りやすいでしょう。
各ギアの後方にカウンターシャフトが伸びており、それぞれが一つのアウトプットシャフトに交わって、動力を伝えている。
もの凄くシンプルに全体図を解説している方がいらっしゃったので、こちらも合せて紹介しておきたい。
ソース:ぺ〜ぺ〜技術者の研究倉庫
それではクルマが走り出したと想定する。
ギアが1速に入って、動力は下記の様に伝達される。
続いて2速ギア。二つ目のインプットシャフト上で2速ギアが待機しているので、クラッチの切り換え(青い方へ)を行い、2速へ連結する。
2速ギアに繋がったと同時に、もう一方のシャフトではギアが3速に変わり、次の変速の為にスタンバイしている。シフトアップした際は即座にギアが連結される仕組みだ。
3速ギアに切り替わったと同時に、もう一方のシャフトではギアが4速に切り替わる。シフトアップした際は即座に4速ギアへ切り替わる。
変速時に二つのクラッチを切り替える時間は、僅か0.05秒以下だが、実際はエンジン回転数を合わせるためにクラッチを滑らせている為、最短でも0.2秒ほど時間がかかる。
以上が4速デュアルクラッチトランスミッションの構造だ。
実際にアニメーションで動作を確認してみましょう。
通常の市販車では6、7速のデュアルクラッチトランスミッションが一般的ですね。基本的な動作はこの4速のモデルと一緒でギアが多くなってるだけです。
デュアルクラッチトランスミッションはマニュアルトランスミッションと比べて少し複雑なので、様々な車種で品質問題が出ていますね。フォルクスワーゲンやホンダのフィットでもリコールが頻発しているし、まだまだ完璧とは言えない精密機械です。
おまけ
ZF製 デュアルクラッチトランスミッションの解説も面白い。