フォルクスワーゲン製DSG、乾式7速DSGと湿式6速DSGの違いって何? 簡単な構造解説を見てみよう

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2003年にゴルフR32から採用されたフォルクスワーゲンのデュアルクラッチ・ギアボックス(トランスミッション)湿式6速DSGは、その鋭い加速とダイレクトな感触が好評だった。

DSGは従来のトルコン式ATと比較すると、全ての動作がワンテンポ遅れる状態から、クラッチを2枚装着し、さらにクラッチ操作を自動化する事で、エンジン出力をダイレクトに効率良く動力を伝達出来る。

そして最近はハイパフォーマンス車を除く、通常モデルで採用されているのは乾式の7速DSGなのだが、ふと湿式と乾式の違いはなんだろうという疑問が浮かんで来る。

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湿式6速DSG

6速DSGには湿式多板クラッチが採用されていて、専用オイルでクラッチを冷却している。クラッチの冷却には6.5Lもの多量のオイルが必要になるので、DSGギアボックス内部に大型のオイルポンプが組み込まれている。

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このオイルのおかげでクラッチの異常磨耗や、発熱に伴うジャダーを最小限に抑える事が出来る。そのためゴルフGTI,R 等のハイパフォーマンスエンジンが発生する大トルクに耐える能力がある。

6速DSGのスペックをまとめると、
最大許容トルク:350Nm、最大許容出力:220kW、クラッチ板に6.5Lの多量なオイルが必要。

乾式7速DSG

2008年にDSGの新バージョンとしてギア数が1段増えた、乾式7速DSGが投入された。このギアボックスは軽量化及びコストダウンの観点から、乾式単板乾式クラッチを採用し、必要なオイルも1.7Lと大幅に減少している。

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7速DSGは大幅なコストダウンに成功した一方、最大許容トルクは250Nmまでの小排気量エンジン向けに開発された。よってポロ、ゴルフ、パサート等の低出力エンジンを搭載するモデルに搭載可能。

7速DSGでトラブルが相次いでいる2速発進でのジャダー問題のからくりは、構造上偶数側(2、4、6速)ギアにに小径クラッチを使用していることと、乾式=冷却回路を持っていない構造だからだ。

日本の都市圏道路のように渋滞が頻繁し、ノロノロ運転で半クラッチが続く状態だと、クラッチの形状が変化してしまうという欠点がある。(もちろん乗り方にも大きく依存するのだが)

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もともとデュアルクラッチトランスミッションは、クラッチを2枚装着し、操作を自動化しているだけで、手動変速機の延長線上にあると考えなければならない。そのため乗り方次第で、人によっては全くのトラブルフリーであるし、新車購入から1万キロにも満たない状態でジャダー問題に悩まされたりするようだ。

こうした問題に対応すべく登場した湿式7速DSGは、最大許容トルク600Nmまで対応している。

DSGは通常のトルコンATとの比較では、最大で20%の燃料削減を実現していると言われているが、近年のATは多段化が進みDSGより更にギア数が多い8速や9速ATが登場してきており、圧倒的な高効率とは言いにくくなっている。

VWはこれを打破する為に10速DSGを新開発している事から、ギアの多段化は益々進みそうだ。

まとめ

湿式のメリット
オイルを多く使用する為冷却効率に優れ、同時に大トルクに対応する。
渋滞でのノロノロ運転に耐える事が出来、ジャダーが最小限

デメリット
常にギアチェンジを行いクラッチが動いているので、オイルの中に不純物が溜まりやすいので、メンテナンスサイクルが短い。それに加えオイル量も多いので費用も高額になる。(凡そ4〜5万円)

*乾式に比べてリコールや故障の報告が少ない。


乾式のメリット
ギアが多段化した事による、燃料消費率の貢献。メンテナンス費用も削減。

デメリット
乾式単版クラッチなので低トルクまでしか対応できない。
オイル使用量が少なく、冷却機構に乏しいため、ジャダー問題が発生しやすい。

*乾式7速DSGは世界中でリコールが多発している。

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