VWグループ最高責任者であるマルチン・ヴインターコルンは2012年に新型DSGを開発していると発表したが、具体的な詳細については明かさなかった。今後登場するであろう新型DSGは様々な改良を加え、ギア数はなんと10速にもなる。
今回フォルクスワーゲンが発表した10速DSGは速ければ2016年頃には主力車種に投入される予定となっている。ゴルフR32に初めて採用された6速DSGギアボックスの登場から早くも11年。これまでに合計で1200万ユニットのDSGが生産されている。
The new 10-speed DSG
新型10速DSGはフォルクスワーゲングループが押し進めている共通プラットフォームであるMQBに適合出来る様に調整されており、最大許容トルクは550 N·m (406 lb·ft)であり、乾式7速DSGの許容トルクが250Nmだった事を考えても、この新しい10速DSGは進化していると言える。しかしながら欧州で販売されている最新の2.0Lディーゼルターボエンジンは236hpで500Nm(367 lb·ft)のトルクを発生させている点を考えると、もう少し大トルクに対応させても良いのではないだろうか。
コードネームDQ511と呼ばれている10速DSGは,ティグアンなどに採用されているDQ500型、湿式7速DSGの最大トルク600Nmと極めて近い。
新型DSGにはアクセルから足を離した時にエンジンから自動でクラッチを切り離し、燃費を稼ぐ「コースティングモード」と、7km/h以下の速度に達すると自動でエンジンを停止させる、A stop-startアイドリングストップシステムが備わっている。
ギアが3枚増える事による重量増を防ぐため、10速DSGでも従来の7速DSGと同様の重量&サイズに抑えられる予定だ。フォルクスワーゲングループが掲げるCO2排出規制をクリアする為にも軽量化は必須だ。
ギア数が10枚もあるので、1、2速のギアは低速発進時等に使用され、摩擦係数の少ないベアリングや、専用のミッションオイルを使用により、トルクコンバーターのように滑らかな発進が可能となるだろう。3速から9速までは明確にエネルギー効率の上昇が期待されていて、ファイナルギアである10速は高速専用ギアだ。
この新型10速DSGは高い燃費効率を発揮するのは間違いなさそうだ。多くのフォルクスワーゲン車種に採用されるのを心待ちにしている。